半樹態

名叢は普段は人間と同じ姿で活動しているが、王が由璋に会いに行く為に使った「母樹と接ぎ木を介した移動能力」は、肉体を植物に寄せなければならない。由璋は2度目に王に会った時に正山に連れて行ってもらっており、その時にこの姿を見て潜在的に「こいつにはらわた喰われて死にたい」と思った。

 

「はらわた喰われて死にたい」は「月が綺麗ですね」。

鳥が翼をひろげるように一瞬で変態する。この状態になると喋れず表情も動かせず、動作も遅くなる。

王と妃は葉の生え方が似てるけど、百華と銀果はそれぞれ全然違う。


半樹態は表情がロックされる(まばたきもしない。眼球はゆっくりなら動く)ので、人型を留めてるのに異質で、間近で見るとけっこう怖いと思う。その恐怖を内包した美しさに由璋は心酔した。

 

擬態を解いた名叢には表情がない。目は瞬かず、視力は低い。体の動きも鈍化。聴力に変化はないが発声しない。心はそのまま在る。 名叢は地上に出て1年弱は擬態能力がないため、その期間は陽光と腰水(泥水で半身浴)だけを養分に生き、幼体期のあいだは冬眠が必要。