CHAild
地を這って、吸い上げて、永遠(とわ)に枯れない喉を以て、金に輝くいのちとなれ。
かざした手に流れる紅い血よ、その糸よ。私をつなげ。
途絶えぬ景色に注(つ)ぐものは、あたたかな橙(だい)、ぬるく燃える紅、激しい一瞬の蒼。さあどれが欲しい。
陽(ひ)も露も、土も蟲も、月も闇も、罪深き人よ、地を這え。
吸い上げろ、業火に捲かれしこの生命を。 我は日輪の子供。
遺言
覇道を往く僕の右手に、節を通らぬよう枷の如く回された五つの指輪は、このさだめからは逃れられないと囁く。
お前が「美しい」と言って口付けたのはいつも右手だった。ただの莫迦なのか。僕の苦しみを吸い上げようとしたのか。
どちらでもいいが、忘れるなよ。僕の手を。
王の旅路
失ったものはかえらないのに、この身も心もそれを求め、潰れそうになっても、出逢う前には時を戻せない。
好きだという言葉も、抱きしめて伝わせた温もりも、嘘ではないと証(あか)すように、全ての愛を抱(いだ)き生きてゆく。
最果てまで。
残酷で美しいこの人生
玉(ぎょく)のように輝いた日々を慈しむ術も知らず、失った愛を心臓に刻み付けながら、このいのちを旅する。
あの娘を標として。