散文/王と冥(1)

冥とマルの会話

「お嬢様〜。私、しばらく来なくてもいいですか?」

「…んー、いいよ。」

「そこはもうちょっと関心持ってくださいよっ!理由をきくとか〜。」

「何だよ、珍しいこと言う…」

「お嬢様って、感情を揺らさなすぎると思いますよ。それじゃあ不安になっちゃいます。」

「だれが。」

「王(おう)様ですよ!」

「はぁ?…あー、わかったわかった。」

「いつもの調子で袖にしちゃだめですよ。相手が相手ですから。」

「俺は誰も袖にしてねぇよ人聞きわりーな!それに王(おう)だろうが何だろうが関係ねぇだろ。」

「うーん……。とにかく、王(おう)様に邪魔に思われたくないんで。私来ませんから!」

「寂しいなー、マルちゃん。」

「はいはい。紙はもらっていきます。いつもの場所でいいですか?子(ね)の方角。」

「ん、頼む。」

「他には?」

「ないねぇ…。次の新月には顔出してくれるか。」

「はーい。用向きは?」

「酸梅湯作ってくれ。」

「…恋人ができたときくらい、そういうのやめません〜!?」

「お前、怯えてんの?かわいそう…」

「お嬢様がたぶらかした相手に毎度毎度目の敵にされるのはこりごりですッ!!」

「俺もそういうのは興醒めだ。」

「……こわ。」