散文/総合(1)

CHAild

地を這って、吸い上げて、永遠(とわ)に枯れない喉を以て、金に輝くいのちとなれ。

かざした手に流れる紅い血よ、その糸よ。私をつなげ。

途絶えぬ景色に注(つ)ぐものは、あたたかな橙(だい)、ぬるく燃える紅、激しい一瞬の蒼。さあどれが欲しい。

陽(ひ)も露も、土も蟲も、月も闇も、罪深き人よ、地を這え。

吸い上げろ、業火に捲かれしこの生命を。 我は日輪の子供。

 


遺言

覇道を往く僕の右手に、節を通らぬよう枷の如く回された五つの指輪は、このさだめからは逃れられないと囁く。

お前が「美しい」と言って口付けたのはいつも右手だった。ただの莫迦なのか。僕の苦しみを吸い上げようとしたのか。

 

どちらでもいいが、忘れるなよ。僕の手を。

 


王の旅路

失ったものはかえらないのに、この身も心もそれを求め、潰れそうになっても、出逢う前には時を戻せない。

好きだという言葉も、抱きしめて伝わせた温もりも、嘘ではないと証(あか)すように、全ての愛を抱(いだ)き生きてゆく。

最果てまで。

 


残酷で美しいこの人生

玉(ぎょく)のように輝いた日々を慈しむ術も知らず、失った愛を心臓に刻み付けながら、このいのちを旅する。

あの娘を標として。