王と妃

お見合い結婚して紆余曲折しつつ良きパートナーとなったふたりは、50年程の月日を共に生きた。


王の旅は忘却とすれ違いの連続。人生二期の赤子の王を庇護したのは妻の妃なんだけど、彼女は既に死期が迫っていて、最後の力で王の肉体年齢をひとりで生きて行ける程度まで成長させて、「私はこの為にこの能力を持って生まれてきたのかも」と言い残して死んだ。
王はこの時転生したばかりなので、妃が誰なのか覚えていなかったし、妃も何も伝えなかった。ずっと後になって、あの時の女の人は自分の奥さんだったのだと思い出して泣く。